脅迫されたのは誰

1. ミサイル発射はなぜこの時期に行われたのか?
2. 六者協議の幹事役である中国の面子を潰した理由
3. ノドン、スカッドを使用したこと
4. 中国、ロシアに情報を与えなかったこと

 以上を総合すると、今回のミサイル発射は中国に対する脅迫なのではないかと推定できる。そうすれば、一応は理屈が付く。


 ミサイルの射程距離は、中国の沿岸部主要都市をほぼ全て覆うようになっている。さらに、首都である北京を直接攻撃することができる。六者協議の幹事役である中国の面子を潰して、外交努力を無駄にしたことは暴行に等しい。

 DPRKは情報を事前に与えないことで、中国とロシアの足並みを乱した。不意打ちに遭った中国は、ロシアと善後策を協議する時間がない。さらに、日本を除く非常任理事国コンゴタンザニア、ガーナ等アフリカ諸国など)に外交工作をする時間を与えなかった。サミット直前のロシアはG7各国の意向を無視できないから、中露を除いた13ヶ国が日本の制裁決議案に賛成している状況では身動きが取れない。
 また、ロシアの離反に理由を与えた。少なくとも、拒否権は使わないだろう。ロシアの警戒システムの空白を突いて、尚且つ着弾地点はロシア沿岸だった。最悪の場合、中国は安保理で孤立する。

 喝取するためには、妥協する意思があるものを畏怖困惑させなければならない。(DPRKは強取する力がないため、利益を交付させる手段は恐喝に限られる。)自国にメリットを与えないものを脅迫しても無意味だから、制裁を行う国ではなく援助を行う意思がある国を恐喝することが合理的になる。


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