小泉政権の自由主義

 小泉首相個人だが、私は世間で思われているほどの伝統的な保守主義者ではないと思う。むしろ無政府主義的な色合いも少し持っている、自由主義者でかつ人権重視の、欧州で言う中道右派、考え方によっては中道左派かもしれないと感じている。貧富の差の容認傾向はあるが、ただ人権面には意外に敏感で、機会の権利や社会的正義については割と確固とした信念を持っているように思える。企業が従業員その他に対する対応で不法なものに関しては小泉政権になってやたら厳しくなった。公正取引委員会、労働基準監督所など軒並み活動が活発化している。
カワセミの世界情勢ブログ: 自民党民主党の現在
http://kawa-kingfisher.sblo.jp/article/690739.html

 下記の記事との関連。あまり注目されないが、このことは小泉政権の功績として良いと思う。拙稿でもたびたび取り上げたが、金融庁行政処分など企業に対する不正の取り締まりはここ数年で大きく強化されている。らい予防法違憲国家賠償請求訴訟での控訴取り下げやドミニカ共和国移民国家賠償請求訴訟の和解も、これまでの政府の対応と比較すると考えられないほど穏当で誠実なものだった。それでも自由と権利の現状はまだ不十分だと考える人は多いのだろうが、完全ではないにしろ、大きな前進だったと評価すべきではないだろうか。