過小評価されたマクロ政策

過小評価されたマクロ政策
 日本経済の回復は、根本的な制度変化がもたらしたのではないとすれば、いったい何によるのだろうか。日本が立ち直った大きな要因の一つは、米国を抜いて最大の貿易相手国となった中国である。理由はほかにもある。日本企業はアジア全域で投資を行い、インドをはじめ各地で新たな取引関係を発展させている。さらに別の要因として、消費者の信頼が回復されたこと、投資家が楽観論(ジョン・メイナード・ケインズの言う『アニマル・スピリッツ』)に立ったことで、好循環が始まり、経済成長をもたらしていることも挙げられる。政府主導で進められた銀行統合によって金融部門が建て直されたこと、ごく最近までゼロ金利政策を続けていた福井俊彦日銀総裁が緊縮政策を緩めたことも忘れてはならない。

 総括すると何が言えるか。専門家は、90年代の米国の財政政策にしろ、現在の日本の通貨政策にしろ、適切なマクロ政策が経済成長に及ぼす影響を過小評価しがちである。彼らは逆に、企業組織(統治に関わるあれこれ)や産業構造(独占を禁止する法律など)のように、ミクロな制度レベルで全体として最適な解を探し出すという方向に迷い込んでいる。 (引用元より抜粋)

ディプロ2006-5 - Les recettes inattendues de la reprise japonaise(日本経済の「意外」な回復) Sanford M. Jacoby, UCLA Anderson School of Management

 その他、マクロ政策として量的緩和、非不胎化介入など*1が行われたと考えられる。外部要因があったにせよ、結局はミクロ制度、ミクロ政策では経済は回復せず、マクロ政策を待つ他なかった。