政治の潮流

ヘンリー・アダムズの挫折(4・完) - 研究生活の覚書

そして政治の世界においては、セオドア・ローズベルトの登場である。名門の子弟で、ハーヴァード出身の彼が政治の世界に進路を定めることが、当時どれほど奇異であったかは、今日からは分かりにくいかもしれない。彼の時代において、初めて「全国的な問題」に対応する可能性が政治に開け、州と連邦との間隙に存在していた政治ボスが力を失っていくのである。

 中央と地方の間隙に存在する政治家が力を失っていく様は、今の私たちが見ていることそのままだ。勿論、日本とアメリカの政治史は全く異なる。加えてセオドア・ローズベルトに相当するような人物もいない。しかし、政治史の経過において、良く似た「歴史の繰り返し」がしばしば見られることの一つの例証にはなると思う。
 それは、「全国的な問題」に対応しなければならない、少なくともそうすべきであると見られている現実に直面した為に引き起こされた必然だとは考えられないだろうか。